映画「バケモノの子」(2015年) 感想
7月11日(土)公開作品です。
時間帯のせいか、ほとんど20~30代、カップルが多め。家族連れは1組ぐらいで59人で鑑賞。公開からそんなにたっていないし混んでるかと思ったのですが、130席中なので半分も満たず、割と余裕で観ることができました。
でもストーリーやらツッコミどころ満載。本来1100円(ぐらいなら払ってみてもいいと思う作品)と思いましたが、映像がよかったので+100円で1200円ぐらいの作品。
・・・・・とまあ、作品全体的には家族でみるにはいいだろうけど、私としては少し不満です。
主人公がバケモノの世界へ迷い込むあたりは「千と千尋~」を思いだし、チコでは「トトロ」、その他、ジブリに関わらず既作品を思い出す場面が所々にありました。
細田作品のよさとして「今まであまり観た感じがない演出やカメラアングル」「この先のストーリーは読めるけど、なぜか感動」等斬新なものが気に入ってたのですが、今回そんな感じはありませんでした。
あまり他を意識しないオリジナル性に富んだ「おお!」と思える作品が観たい。
熊徹はそのものという感じで、こういうキャラとわかりやすい印象です。話の中では生き生きとしていて、感情移入もしやすい。でも・・・・。
九太(子供)は負けん気の強さでつっぱっている感じだけど内心どこかで寂しい、不安、悲しさを秘めているそんな微妙な感じが伝わってこないです。なんかただ頑固で勝気ででもまあ悲しみをしょっているという感じ。もう少し「うん、でも本当は寂しくて、悲しくて辛いんだよね」という感じがほしい。確かに彼が母親を思いだし悲しむシーンとか”悲しみ”を感じさせる描写とかありますが、なんか今一つ。
それとヒロインの楓。
本音を言うシーンがありまた彼女も本心だと言ってた場面。「本当に本心ですか?」
本心というのは強い意志を感じられ、訴えるようなものがあるものと思います。だからこそ本音の部分はなんとなくわかるし、その思いは強く伝わってきて、人を動かすこともある。
でもここでの言葉は確かに本音を感じられるセリフではあるけど、訴えるものがない。心に響かない。だから、本当に本音かと疑問を持ってしまいます。
・・・・・つまり、熊徹以外キャラに魂を感じない、というか淡々といるだけというかそんな感じでした。ちなみに、熊徹の他にいいと思ったのは多々良と宋師ぐらい(プロの声優は除く)。
一郎彦に何が起こったの!?という展開。最初はいいやつという感じだったのが、いつのまにかラスボスのような存在になっていて心の闇の過程がきちんと描かれていないから唐突さが急上昇。クジラもなんとなく言いたいことはわからないでもないけど、もっとわかりやすく描写してほしかったです。
一郎彦が暴走しているのに親(猪王山)は何をしているんだ?とも思いました。
命がけで九太が止めようとしているのに、親であるのに何もしないのかと。
もしなにかしらの理由(怪我で動けないとか)があるのなら、苦悩し、「親でありながら一郎彦の闇に気付かない自分へのふがいなさ」「本当は自分が動きたいのに九太に頼らざるおえない辛さ」を訴えるシーンが観たかったです。
でも逆にそんな不甲斐なさをだすのを見て、最初の方で宗師が熊徹に結構目をかけている感じがしたのは、熊徹の本来の強さ、「いざとなったら自分の命をかけてでも(民を)守る(であろう強さを秘めている)」というのを感じていたからじゃないか、と妙に納得してしまいました。
一番印象深かったのは多々良と百秋坊が九太が一郎彦と決着をつけるのに出た後のしみじみと九太のことを語るシーン。
セリフにはなかったけど、九太の成長で「我々もそれだけ年をとっているということだ」と思ったのだろうと思ってしまいました。
でもここで「九太~~~~!!!こんなに立派になって!!あんなに負けん気の強い子供だったのに成長したね~~~(感動!!)」って私が思えばまた違う感想になってたかもしれないな。
うん、自分が40歳以下ならもっとまた違う感想かもしれない。
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